「もしも自分だったら」で楽しむ物語

ちょっと面白いなと思ったエピソードが2つあります。

 

一つ目。

友人と面白かったミステリ系アニメの話をしていました。そのアニメはラノベが原作で人狼ゲームみたいな物語です。魔王打倒のために集まった登場人物の中に一人だけ偽物が潜んでいるというものでした。原作を読んでアニメを視聴していた私は、ミステリ好きな友人とそのアニメの話をしていました。

登場人物全員怪しいけどアリバイがあります。「みんな怪しいよねー」とか話していたら、友人がふとこんなことを言いました。

「もしも私が作者だったら、こいつを偽物に設定するかな」

友人は疑わしいキャラクターとそのアリバイを推理し始めました。原作を読んでいた私はびっくりしました。友人の推理はピッタリ当たっていたのですから。

 

 

二つ目。

私はあるミステリ小説を読み、その完成度に感動していました。コミカライズ版もあるとの情報を知り、それも読んでみたいと思いました。

家人と物語に登場する建物の間取り図を見ながら作品の話をしていた時です。家人は間取り図だけで犯人を当ててしまいました。曰く、

「もし自分が犯人だったらこうする」

と。

 

どちらのエピソードもミステリで、友人も家人もその作品を知らないのに、「もしも自分だったらどうするか?」という観点で推理して犯人を当てていたのが、とても印象的でした。

以前のブログでも書きましたが、私は読書をしていると物語にどっぷりと溶け込んでしまいます。そういう楽しみかたしか知りませんでした。自分がその体験しかしたことなかったからです。だから2つのエピソードにあったような「もしも自分が作者だったら?」とか「もしも自分が犯人だったら?」みたいな着眼点がとても面白かった。自分が物語に溶け込まなくても楽しむ方法があるんだ! と発見がありました。

他の人が物語をどう楽しんでいるのかを知ることはとても興味深いことがらです。友人のように「自分が作者だったらどうするか?」という楽しみかたも、家人のように「自分が犯人だったらどういう犯行計画を立てるか?」という楽しみかたも、私のように物語そのものになってしまうような楽しみかたも、三者三様で楽しいなと思います。いろんな楽しみかたを身に着けていたら、これからの読書や物語を書く行為がもっと楽しいだろうなと感じました。